それぞれの道

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 緑の騎士たちは、徐々に王妃の兵たちを押し返して行った。セルマとランドルフは騎士たちの後について礼拝堂を出た。形勢は逆転しつつあり、王妃の親衛隊たちはじりじりと後退した。 「我が勝利だ。」  ランドルフは得意になっていた。このまま上手(うま)くいけば、彼らを墓地から追い出せるかも知れない。後はアンブローズ公が到着すれば、何とかなるだろう。  その時、ジェイさんが、ウォーと咆哮を上げた。振り回していた鐘撞き台の柱はすでにボロボロになっていた。ジェイさんは、転がっていた飼い葉桶を拾うと、取りあえず敵に投げつけようとした。しかし、手元が狂った。  飼い葉桶はフレッドめがけて飛んでいった。フレッドはヒヒヒヒと笑って、さり気なく避けたので、後ろに立っていたマデリンを直撃する……かに思われた、幸い彼女は幽霊だったため、体をすり抜けてしまった。桶はセルマの方へと向かった。 「危ないじゃない!!」  セルマは飼い葉桶をスコップで叩き落とした。桶は地面に当たると、(たが)が外れてバラバラになった。そのうちの一片が飛んで、ランドルフの頭に命中した。
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