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ランドルフは、そのまま地面に突っ伏してしまった。
「ランラン!」
セルマは駆け寄って抱き起こした。
「ねえ、しっかりしてよ。」
揺さぶったり、頬をパチパチと叩いてみたりしたが、ランドルフは目を醒まさなかった。息はしているので、死んではいないようだ。
騎士たちの様子が、おかしくなった。
いったん、ぴたりと静止した後、ぐるぐると回転し始めた。それから、近づく者を弾き飛ばしながら、ばらばらの方向に動き出した。つまり、暴走だ。
墓地の中は、暴走する騎士像、逃げ惑う敵兵、浮かれ回る死体たちで大混乱になった。墓石や石柱はなぎ倒され、花壇は荒らされ、道はぼこぼこになっていく。
それより、自分たちの身が心配だ。近づいてくる有象無象どもを、セルマはスコップでなぎ払ったが、埒があかない。みんな数が多すぎる。それでも、死体と兵士たちは、まだいい方だ。緑まみれの騎士たちについては、完全になすすべがない。
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