それぞれの道

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 ジェイさんとフレッドも頑張(がんば)ってくれてはいるものの、三人だけでは手に負えない。 「お願い、起きて。」  もう一度、ランドルフを揺さぶってみたが、相変わらず、反応はなかった。 「もう、ランランったら、肝心な時に。」  元々は自分が原因だったことも忘れて、セルマはぼやいた。  ひとまず、ランドルフを引きずって物陰に隠れた。 「次から次へと、まったく、どうしろって言うのよ。」 (セルマさん。)  セルマが頭を抱えていると、声がした。 「マデリン?」  マデリンがセルマの側に立っていた。 (杖です。)  彼女が言った。杖というのが、自分が手にしているスコップのことだと思いいたるのに、少しばかり時間がかかった。 (礼拝堂の絵を覚えていますか?)  セルマの脳裏に数日前に見た騎士の絵が浮かんだ。 (その杖には秘めた力があると言われています。それを使えば、何とかなるかも知れません。)
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