それぞれの道

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「使うったって、どうやって?」  セルマの問いにマデリンは首を振った。 (私にもわかりません。ただ、奇跡の呪文と関係あるようです。)  王立墓地七不思議その七『奇跡の呪文』墓地が危機に陥った時、天に謎の言葉が現れ、唱えると奇跡が起きる、と言われている。そんなもの、今思い出したところで、どうにもならない。  ガチャガチャと音を立てて、何かが近づいてくる音がした。セルマはそっと、隠れ場所から顔を出して見た。兵士の一人がこちらへ逃げてくるところだった。 「わあぁ、誰か助けてくれ。」  彼の後ろを、ぐるぐる回る緑の何かが追っていた。 「ちょっと、やだ。こっちに来ないでよ。」  セルマがあっちへ行けと手を振ると、兵士は来いと言われたと勘違いして、こちらの方に向かって走ってきた。後ろから緑の独楽(こま)が追いかけてくる。 「お願い、力があるなら何とかしてよ。」  セルマはスコップに向かって叫んだ。
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