それぞれの道

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 ランラン、もといランドルフ王はその後もセルマに何度か求婚したが、その度にはぐらかされ続け、遂には諦めて適当な国の王女を妻に迎えた。二人が互いの肖像画と見比べて、詐欺だ、と思ったかどうかは伝わっていない。  王はかなり、いい加減な性格だったにも関わらず、良き臣下に助けられ(仕事を押し付け)その治世は王国の黄金期と呼ばれた。在位五十年目に息子に王位を譲り、以後、悠々自適の老後を過ごした。子宝にも恵まれ、最期は子どもや孫、曾孫(ひまご)総勢百数名に見守られた大往生(だいおうじょう)であった。  レイは墓地の騒動から十二年後、ゴルゴンを寿退職し、夫と共に鴉梟便という宅配業を営んでいる。家業はそこそこ繁盛模様だ。  夫婦は一男一女をもうけ、それぞれ白鳥と黒鳥に変身できるらしい。仲良し家族の合い言葉は、もちろん「ねばもー」だ。  幽霊のマデリンは今でも墓地にいて、もと通り再建された鐘を撞き続けている。。時折、昼間に現れては、墓守魔女とおしゃべりしたり、愚痴をこぼし合っている。
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