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棺の少年
真夜中、静まり返った墓地に、鐘の音が響く。その数十二回。鐘は十二時と三時の二回鳴らされる。撞く者を誰も見たことがない。そのため"幽霊の鐘"と呼ばれている。王立墓地七不思議その一。
と、昼間斜め読みした指示書の豆知識に書かれてあった。まったく、屍がうろつく墓場に、七不思議もへったくれもないじゃないの。
その時、カランカランと鐘が十二回鳴った。セルマは、鬱々とした気分で椅子から立ち上がった。見回りの時間だった。
外に出ると、ジェイさんとフレッドがすでに納屋の前で待っていた。
「ジェイさん、フレッド出かけるよ。」
「ウウウ」
「ヒヒヒ」
セルマは左手にランプを携え、右手に杖……やはり、どう見てもスコップを握りしめて、墓地の道を歩き始めた。
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