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意を決した庭山は、教室に戻り扉を開けるのであった。
「お、戻ってきた」
「お帰り」
「やっぱり来たね」
「うれしい、戻て来てくれたのね」
何か、予定調和な感じがして釈然としないが、相馬の笑顔を見て喜びを感じるとともに、彼女を孤立させないぞという使命感に燃え始める庭山。
1人で盛り上げっている所に、藤田が近寄り、
「岡安さんに、言いくるめられたね」
「え?」
「そうなんだよね、あの人は」
笑いながら新井が話を続ける。
「あの人は、何時もそうなんだよ。適当に言葉を見繕って、それらしい言を投げかけて、押しとどめようとするから。あ、僕もその1人ね」
「へ?」
仁井田が、庭山の横を通り過ぎながら、
「まぁ、失敗する事もあるけどね。そもそも、あれが嫌で、だれも此処に近づかないんだけどね。無知って怖いわね~。あ、私もその1人」
「じゃ、相馬さん・・・」
「えへぇ、私もその一人なの。あ、岡安先輩に何言われたか知らないけど、あの人の事は鵜呑みにしない方がいいわよ」
「孤立とか・・・、信用とか・・・」
「たかが部活に、其処までするわけないだろう。うちはフランクなんだから、みんな仲良く、どんな人でもウェルカムさ。あ、ちなみに僕は自主的に入部したから」
藤田に、肩をたたかれご愁傷様と祈られる。
「TRPGで会話・・・」
「ああ、確かに会話は必要だけど、だからと言ってそれが絶対ではないわ。口下手な人だってゲームを楽しんでいるもの」
嬉しそうに、相馬が庭山の手を握り締めるが、その感触に浸っている気力は残されていない。
❘何が本当で、何が嘘だったんだろう。
そもそも、相馬さんの件は何だったんだ。TRPGで会話うまくなるんじゃないのかよ。
もう、何が何だかわかんね❘
「では、新入部員が入った事で」
「「「バンザイ!!」」」
「あ、あの!」
「何だい?」
「考える時間が欲しいので、体験というか・・・仮入部でお願いします」
庭山の精いっぱいの抵抗だった。
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