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岡安は、一同の様子を一通り眺めながら、少し考え事をしたと思ったら、
「甲葉」
「何です、もう」
口を開くのもうんざりしている甲葉だが、一応年配者なので話は聞くだけ聞こうとするが、明らかに面倒くさく感じている。
「このままでは、お前は納得しないだろう」
「いや、もうそれは後日考えますから・・・」
「そこで、提案があるんだが」
「ですから、後日に・・・」
「此処はひとつ、勝負して見るのは」
「勝負って、何でまた」
「買った方が、負けた方にひとつ命令を聞くという」
「バカバカしい。そんな事して何になるです?」
「ほほう・・・、何もせずこの場から立ち去るのは、所謂敗者のするべき事だぞ。それでいいのか?」
「はぁ?何言ってるの」
「別に、命を張ろうという分けじゃない。このままだと、例えどのような結果になろうと双方に遺恨を残すことになぞ」
「それは、あんたがしたことでしょが!」
「そんな小さい事は、この際どうでもいい」
「言い分けないでしょ!」
「それとも、勝負で負けるのが怖いのか?」
「何ですって!」
二人のやり取りに、また何時もの雰囲気に戻り始めている様子に、また岡安の付き合いをするのかと思いながらも、藤田、新井、仁井田は事の顛末を見ることにした。
相馬も庭山の傍に近寄り、
「結局、何だかんだ言っても先輩のペースに引きずられて行っちゃうのね」
「ほんと、あの人て何なんでしょうね」
「さぁ?」
自分の土俵に上げるべく岡安は、甲葉を焚き付けていった。
「どうする?。このままこの教室を去るか、打開策を見出す為に、勝負に出るのか?」
「だから、何でその二者択一なのよ!」
「怖いか?」
「はっ、何で私が怖がるのよ」
「じゃ、このまま頭悩ませて、眠れない日を過ごすのか?」
「何よそれ!」
「さぁ、どうする?」
「あのね・・・」
「さぁ」
「だか・・・ら」
「さぁ」
「ああもう!分かったわよ。勝負すればいいんでしょ!勝負すれば!」
「ようし!決まった!」
パンッ!
手をたたき、交渉?が成立したのを確認して、椅子から立ち上がる。
「で、勝負って何するの?」
うまく相手に乗っかかる形になり、いまひとつ納得のいかない様子ではあるが、一刻も早くこの教室から出ていきたいという感情が判断を鈍らせた。
「勝負はこれだ」
立ち上がった岡安は、本棚から一冊のTRPGのシステムを手に取り、甲葉にその表紙を見せつける。
「はぁ、これ?」
「これだ!」
「これって、あなたたちが何時も遊んでいるゲームじゃない」
「そうだ!」
「冗談じゃないわよ。誰がこんなのを!」
「冗談ではないぞ、ゲームであれがすごく健全で楽しく遊んで勝負することが出来る。何より安全だ」
「お断りよ!。あんなに推し進めるから何かと思えば。何が勝負よ」
「何だ、まさかお前、殴り合いで勝負つけようと思ったのか?物騒な奴だな」
「んな事、言ってないでしょ!」
「だったら、いいじゃないか。誰も傷つかないし、勝敗は目に見えて公平だ」
「第一、私たちは、それを遊んだことないのよ。それじゃ、こっちの不利じゃない」
「大丈夫だ。基本、勝負はサイコロで決定する」
「サイコロ?」
「そうだ、まさかサイコロを知らんてわけであるまい?」
「バカにしないで、サイコロぐらい知ってるわよ」
「じゃ、問題ないな」
「ち、ちょっと」
「何、基本的な事は此処にいる連中が、教えてくれる」
目くばせで、庭山を除く4人を刺して確認をしていると藤田が、
「まったく、何時も強引に話を進めるんですから」
「まぁ、そのワガママに今まで、付き合ってきたんだからな」
「何時もの事よ」
勝負事が、TRPGで決戦する事となり、意気揚々とする新井と新井田。
「これって、プレイヤー対プレイヤーと言う事になるんですか?」
素朴な質問に、岡安はうなずき、
「もちろんそうなる」
「面白くなりそう」
目を輝かせている相馬の様子に、庭山は1人取り残された気分になり、距離が近くて遠いんだなと感じがした。
「庭山君、一緒に頑張ろう」
「う、うん」
今一つ乗り切れてない庭山であるが、相馬と一緒ならと打算的な考えで意を決意
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