5.四畳半異世界誕生

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 「で、お前たちは何し来たんだ?。うちらをからかいに来たんじゃないだろう」  「まぁね」  やっと落ち着きを取り戻したパウリーネが、不知火から解放され、話割って入ってくる。  「あなたたちもご存じのはずよね。この町”ヴィルヘルム”の守護的存在の秘宝が盗まれたのを」  「ほほう、そんな事があったのか」  「気づかなかったわ」  「そんな話、酒のつまみにもなりゃしない」  「あら、あなたたち興味ないのかしら?」  「興味も何も、まだ依頼所にも話が来ていないだろうに」  「そりゃそうね・・・」  「依頼がなければ、お金は入らない。ただ働きになるだけよ」  「で、でも・・・」  「あん?だれ、あんた?」 話に割ってい入ったケインに、怪訝そうな顔しながら睨み付ける。怯みそうになるが、意を決し話始める。  「ケインです」  「そっ」 素っ気無い返事に、心が折れそうになるが話を続け、  「この町が、困っている人がいるなら、それを助けるのが道理ではないのでしょうか」 無償の正義感に、アウラは突き放すように、  「良く出来ましたは、意味がないのよ」  「何で?」  「私たちは、冒険者なのお金をもらって、危険な依頼を受ける事が基本とされていて、感謝だけでは、お腹は膨れないわ」  「で、でも!」  「ケイン君、気持ちは分かるけど、それではどうしようもないわ」  「そんな、リーディアさんまで」  「はん、無駄な正義感は自分の命を失うことになるのよ。えっと、ケインといったわね。あなたは、その正義感で仲間たちを守れる保障はあるのかしら」 安っぽいヒューマニズムに、パウリーネはケインに杖で指し、現実を見る事を促す。  「た、確かに、僕にはみんなを守れるほど力はないかもしれない。でも、それでも、僕は人の役に立ちたいんだ、感謝されなくてもいい、お金なんていい、僕はただみんな喜ぶ顔が観たいだけなんだ!」 反論されても、現実を突き立てられても挫ける事の無く、自分の信念を曲げないケインの姿に、一同は感心した。
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