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「で、お前たちは何し来たんだ?。うちらをからかいに来たんじゃないだろう」
「まぁね」
やっと落ち着きを取り戻したパウリーネが、不知火から解放され、話割って入ってくる。
「あなたたちもご存じのはずよね。この町”ヴィルヘルム”の守護的存在の秘宝が盗まれたのを」
「ほほう、そんな事があったのか」
「気づかなかったわ」
「そんな話、酒のつまみにもなりゃしない」
「あら、あなたたち興味ないのかしら?」
「興味も何も、まだ依頼所にも話が来ていないだろうに」
「そりゃそうね・・・」
「依頼がなければ、お金は入らない。ただ働きになるだけよ」
「で、でも・・・」
「あん?だれ、あんた?」
話に割ってい入ったケインに、怪訝そうな顔しながら睨み付ける。怯みそうになるが、意を決し話始める。
「ケインです」
「そっ」
素っ気無い返事に、心が折れそうになるが話を続け、
「この町が、困っている人がいるなら、それを助けるのが道理ではないのでしょうか」
無償の正義感に、アウラは突き放すように、
「良く出来ましたは、意味がないのよ」
「何で?」
「私たちは、冒険者なのお金をもらって、危険な依頼を受ける事が基本とされていて、感謝だけでは、お腹は膨れないわ」
「で、でも!」
「ケイン君、気持ちは分かるけど、それではどうしようもないわ」
「そんな、リーディアさんまで」
「はん、無駄な正義感は自分の命を失うことになるのよ。えっと、ケインといったわね。あなたは、その正義感で仲間たちを守れる保障はあるのかしら」
安っぽいヒューマニズムに、パウリーネはケインに杖で指し、現実を見る事を促す。
「た、確かに、僕にはみんなを守れるほど力はないかもしれない。でも、それでも、僕は人の役に立ちたいんだ、感謝されなくてもいい、お金なんていい、僕はただみんな喜ぶ顔が観たいだけなんだ!」
反論されても、現実を突き立てられても挫ける事の無く、自分の信念を曲げないケインの姿に、一同は感心した。
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