2.廃部

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 「すまん、遅くなった」 クラスでの用事を済ませ、遅れてやって来た元祖美術部部員の3年生新井康智。  「困りますよ、甲葉会長」  「ひど~い!。あんまりです!」  「横暴だぞ~」 部室のドアを申し訳ないようにして開けると、部員と会長代理との怒号が飛び交う部室の中を見て、何事かと思い目を丸くする。  「何だ・・・?何やってるんだ?」 事情の分からない荒居は、何が起きていいるの把握できずその場に立ち尽くしてはいたが、何かさ察したのか岡安を見て、  「岡安先輩、また何かやらかしたのですか?」  「失敬な、私ではなくこのお菊がだな」  「だれが、お菊よ!」  「新井先輩、聞いてくださいよ」  「え・・・?」 「お菊会長代理が、いきなり元祖美術部を廃部にするといったんですよ」  「いい加減にして!」 声を荒げる甲葉会長代理を尻目に、目を潤ませながら祈るようにして、相馬は新井にすがるように近づく。  「廃部だ?。甲葉どういう事だ?」  「あら、新井くん。これにはちゃんと、理由があるによ」 興奮して、声を荒げる新井に、落ち着くよう両手を胸の前で上げ抑えるよう促す。  「ほほ~ん。では、その理由とやらを聞かせてもらおうか」  「うっ」 乗り出している岡安の顔を手で押さえ、  「分かりました。分かりましたから、顔を近づけない」 全員の注目が集まるのを確認して、  「こほん」 小さな咳払いで間を空け、落ち着いた所に本題を切り出す。  「本来でしたら、部活動として活動するには、最低人数である5名いないと活動できない事は知ってますよね?」  「だから、規定人数に達していない、此処に乗り込んできたんでしょ」 藤田部長が、扇子を畳みながら問に答える。  「ええ、本来なら規定人数に達していない部の活動は禁止なのよ。でも、これはあくまでも建前上の話であって特に問題なければ、定員に達してなくても生徒会の判断で、先生達には話をつけて廃部にする事はないのよ。普通ならば・・・」  「なんだ、じゃ問題ないじゃない」 ホッと、胸をなでおろす相馬を睨み、  「相馬さん、あなた人の話を聞いてなかったの?。”問題”なければの話よ。も・ん・だ・いなければよ」  「だから、問題なかろう」 岡安の問に、部員一同大きく頷き、何が問題あるのか不思議でいた。  「問題ありよ!」 そう言い放ちながら、本棚のゲームを何度も叩きながら、認識しろと言わしめる。  「さっきも言ったように、部としての活動らしき活動はしていない。それどころか、こんなゲームで毎日毎日遊んでばかりで・・・。これが、健全な部活動と言えますか!あなた達は!」 部員一人一人指を指し、反論できるなら言ってみろと、いわんばかりの笑みを浮かべる。  「とにかく二学期が始まるまでに、規定人数の5人に達していなかったら、廃部です」 やっと、言いたいことが言えて満足気な顔すると、副会長と書記を両脇に従えて部室から立ち去る。
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