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プロローグ
20世紀初頭、世界大戦の最中、ヨーロピア大陸の西に位置する小さな島国であるイングラム国内のとある陸軍キャンプ場に一人の少女がやって来た。
彼女の名はイブキ・ルイス、父はイングラム人で母は東洋のある小さな島国出身のハーフだ。彼女の容姿は母親に似て黒髪のロングヘアーに黒い瞳と言う東洋人と変わらない容姿だった
木枯らしが吹くこの場所は、大戦で身も心も傷ついた兵士たちが大きな焚火で暖を取りながらイブキが奏でるフルートの音色に癒されながら一時の休息を楽しんでいた。
そんな彼女はこうしてフルートを片手に戦争で傷ついた人たちを癒す旅をしていた。彼女が演奏を終えると兵士達からは盛大な拍手が送られた。
「姉ちゃんすげえぜ」
「ありがとうございます」
「なあ、もう1曲なにか聴かせてくれよ」
「分かりました。では、ある少女が教えてくれた曲を演奏します」
イブキは胸元にある手術痕に軽く手を当て優しく撫でた。そして愛用のシルバー色のフルートに優しく唇を乗せ演奏を始めた。
イブキが奏でるメロディーはまるで妖精の歌声のようだった。吹き抜ける枯らしはイブキのメロディーと調和して春風の様に温かく、その場にいた兵士たちを包み込みまるで風の精霊たちが身も心も傷ついた人たちの傷を癒していた。
イブキの活動はヨーロピアの人達から「戦場の吹」として語り継がれていた。
彼女がこうして活動を続けるのにはある少女との出会いがあったからだ。
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