噂の恋人

1/4
前へ
/14ページ
次へ

噂の恋人

『あー温かい。冬は炬燵に限るな~』 そう言って人様の炬燵になんの躊躇いもなく潜り込んで暖を取る。 寒いのは嫌いだ。冬なんか来なければ良いのに。 末端冷え症の俺は完全に冷えきった足元や手を擦りながら早く温かくならないだろうかと小刻みに身体を動かす。 今日も授業中、学校の外周での走り込みは一段と冷たい風が俺をまるで親の敵かって位向かい風で追い詰めてきた。 女子は固まって話ながら寒いねなんて言ってたが俺は叫びたい位に寒い。 こう言う時は思いっきり走って身体を暖めるのが一番だって事で動く事は嫌いじゃないから一人で集中して走った。 そしたら教師にお前は運動の時は本当に真面目だなと言われたが別に真面目ぶっているつもりはない。 俺は純粋に運動するのが好きなだけだから。 …まあ素直にそんな事は言えない訳で。 その時は軽く相槌だけ返しておいた。 因みに俺、蛇塚清澄には恋人がいる。 「あ、また家の炬燵で温まってる。」 矢本隆臣、同い年の同じアパートの住人。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加