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やっと温かくなってきた俺は完全に身体を弛緩させ、机に顔を突っ伏させる。
その姿に矢本君は苦笑いするだけ。
この前なんと無く合鍵頂戴とお願いするとアッサリと承諾してくれて。
学校の帰り道、寒いし折角だからって事で部屋に上がり込んだら案の定俺の方が帰りが早かった見たいで家の主は居なかった。
折角来たんだから顔を一目見てから帰ろうと思い勝手に炬燵を拝借したと言うことだ。
「まるで自分の家みたいに寛ぐね。」
そう言うと矢本君は俺の向かい側に座って一緒に暖を取る。
冷たい外気がちょっと入ったから身体を少しだけ縮め込むと軽くクスリと笑われ。
それから…
『…何ー?』
視線を感じて目線を合わせる。
俺はいつも通りのお得意であるニヤリとした笑みで矢本君を見つめれば
「猫みたいだよね。蛇塚くんて。」
『…………は。』
猫?
一瞬ポカンとした俺の顔を見て矢本君が盛大に笑う。
「その顔珍しい!そんな顔出来るんだ?!」
なんて言いながらゲラゲラ笑うから俺はむすっとして矢本君から視線を外す。
「あーごめんごめん…怒った?だって炬燵でさっきまで丸くなってたし…なんかたまに見る仕草とかつい…」
『別に。』
まだ笑いを引きずっているのか体がぷるぷると震えている。
まあ正直俺もポカンとさせられた事なんて今まで中々無かったから意外って言われるのも分からなくないし。
それよりも
『矢本君だってそうやって笑ったりすんだねー?』
俺はまたいつも通りの笑みで矢本君を見つめる。
「っ…はは、うん。まあ時と場合による?かな。」
あ、そう。
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