噂の恋人

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「君の新たな一面を見られて嬉しいよ。」 そらどーも。 でもそれいったら 『矢本君の大好きな趣味の前での姿は凄かったけど?』 「まあ、あれは特別だから仕方ないかな。」 なんて嬉しそうに話すから俺は彼のキラキラした目で戦隊物の話をただ淡々と聞いている事にした。 本当、人の趣味ってそれぞれだな。 「…と言う訳で、あ。もうこんな時間。」 『ん。』 そりゃあんなにずっと話をしながらDVD観賞もしていたらこんな時間にもなる筈だ。 俺はゆっくりと身体を起こして伸びをする。 するとまた矢本君が身体を震わせるからああ、また猫か。と内心呆れつつ帰る支度をした。 「じゃあまた。」 『ん、また。…あ、』 「ん?」 『今度広場でヒーローショーに出るんだ。俺。』 「え!!!」 『結構稼ぎ良いみたいだから試しにーて、事で…』 て、聞いてる? またキラキラした目で矢本君がえー?いつだろう楽しみー!誰の役だろー!?だなんて言ってる。 「絶対行くね!!!」 『来なくて良いよ。』 なんか五月蝿そうだし。 面倒臭いなーて顔の俺とは対照的に矢本君の顔は輝いている。 やれやれ言わなきゃ良かった。 『絶対来ないでね。』 「なんで!良いじゃんこの前も格好よかったし!」 『それはそれ。じゃ。』 そそくさと帰る俺に矢本君が何か叫んでいたけれどスルー。 これなら近所の広場じゃなくて一駅位離れた所のバイトにしとけば良かったな。 全くこれから嫌な予感しかしない。
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