落ちた

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落ちた

ある日、雀が5羽生まれました。 毛の生えていない頃は、兄弟たちと一緒に餌をお母さんからもらっていました。 葉がいっぱい、周りでそよそよと揺れているお家はとても心地よくて、平和でした。 高い枝の上にあって葉で隠れているから、怖い動物は何も来ませんでした。 けど、お母さんのように毛が生え始めてきたある日 強い、強い風が吹きました。 お母さんは大きな羽で兄弟たちを包んだけど、1羽だけ、羽の中に入れませんでした。 大きなスプーンに掬われたようにお家から投げ出され、落ちていく1羽にお母さんは気づけませんでした。 「おかーさん!」 子雀は叫びましたが、風は声も音も奪って、ひたすら落ちていくことを促すだけ。 ――怖い 子雀がそう思って目を閉じたら、背中にふわっとしたものが当たりました。 それは、周りでいつもそよそよと揺れていた緑色の葉っぱ。葉っぱは、子雀を優しく受け止めて、固い固い地面にそっと丁寧に降ろしてくれました。 どこも痛いところがなくてホッとしながら子雀がお家を見上げたら、お家がとってもとっても小さかったのです。 「おかーさん!」 子雀は叫びました。 けれど、助けてくれた葉っぱたちが風に煽られてざわざわと五月蠅いから、子雀の声は全然お母さんに届きませんでした。
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