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思わず女子生徒の反応に反応してしまった。
「いや、泉希くん……男の子です……」
「何で敬語なの?」
いきなりの敬語に困惑の表情を浮かべる。すぐに彼女の言葉に不信感を抱く。
(男? さっきのが?)
確かに一瞬だったし、ウィッグなんかを被ってたら、女子に見えなくもない。事実目の前の女子生徒が本当の事を言っているとも限らない。けれどこれで色々と面倒なことになっても困る。一応お節介で口を開いただけだったのでこの場を納めることにした。女子生徒たちは互いに目を合わせて何かを言っている。
「あー、もういいよ。引き留めてごめんね? でもいじめはやめておいた方がいいと思うよ? それが原因で……って、ニュース最近多いじゃない。だからよく考えた方がいいと思うよ」
微かに含んだ笑みを浮かべて階段を上がった。いつもそうだ。この笑みを浮かべると困った顔をして最後には怖がられる。自分が悪いことをしたっていう罪悪感でも出てくるのだろうか。
階段を三周ほど上がると重いドアが現れる。
屋上へのドアなのだが、正直学校の屋上が何のためにあるのかわからない。大体の学校の屋上は鍵がかかっているか閉鎖されている。
生徒の立ち入りを許可しないのなら見栄を張って屋上なんてものを作らなければいい。それこそ経費の削減になって国のためにもなるのではないかと思う。
「ま、オレには関係ないけどね」
ドアを開けて屋上へ出た。学校という閉鎖的空間から解放された心地よさを一瞬だけ感じる。灰色の視界が開けて、真っ白で、目が慣れるとそこには広がる空や町並みが見渡せる。
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