気紛日-Whim day-

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気紛日-Whim day-

 帰り道、帰り道。 (学校帰りー、歩道橋、歩道橋ー) ふらふらと一人帰り道。至る所に人、人、人。 ガシャンっと音を立てて歩道橋にもたれかかった。まるでフェンスのような音。もう結構ぼろいようだ。 「ここだったらいいかなー」 電車が下を通過する。ここは五分もせず次の電車がやって来る。その気になればいつでも飛べる。 背中をぼろい歩道橋に押し付けてそのまま体を逸らし始める。視界が空へ、架線が映った時だった。微かに視界の先に電車がやって来るのが見えた。電車が独特のクラクションを鳴らす。 微かに口角を上げて目を閉じた。 「危ない!」 「!」 急に体が引っ張られて視界が灰色に染まった。いつもの鉄橋、歩道橋。コンクリート。 「落ちたらどうするんですか!」 何が何だかわからない。目の前には髪の長い……男子制服を着た女子がいた。 「……えっと、みずき、ちゃん?」 学校で見た時、女子生徒がそう呼んでたのを思い出した。 「話を逸らすな! 落ちたらどうするんだ、電車も来てたし死ぬところだったんだぞ!」 翡翠色の瞳が見開いた。目の前の彼女は本気で自分を心配しているようだ。 「あ、うん。そうだね。ありがとう」 「それと、私は男だ」
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