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「……は?」
「……は?」
「いやいやいや、学校で逃げてたみずき、ちゃん……だよね?」
むっとして言い返す。
「確かに女子からは逃げてたが、女子の話聞かなかったのか? 私は男だ。今回ばかりは嫌になって逃げ出しただけだ」
「……彼氏取らないでとか言われて陰湿ないじめ受けて、みずき"くん"なんて呼ばれてそれで今度は男子制服着せられてるんじゃないの?」
「どこにそんなアホが居る」
「いや、だから目の前――」
「違うと言っている。私は正真正銘のおと――!?」
「あ、ほんとだ」
ぎゅむっと男の証があるであろう場所に触れた。
「っ…。貴様……」
「じゃあ、そのみずきくん。ご忠告ありがとう。それじゃオレは帰るので、痴漢に会わないよう気をつけて帰ってね」
微かに含んだ笑みを向けて、軽く手を振る。その表情は暗くて見づらかったけどやっぱり困ったような顔をしていた。どうせまた怖がった表情をされているのだろうと、駅の方へと歩いて行った。
「あいつ……」
(私の事をやはり男だと思ってないな……、くそっ)
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