002(組織)

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002(組織)

ゼノは警察署の取調室で聴取を受ける。 「何で幼い子を手に掛けたのかな。小児愛者か、てめえは」 警察は、はなっからゼノの犯行だと決め付けてる。 「根拠は? 初動捜査を見誤ったな。それに、水死体だろ。事故や自殺の線は消えたのか?」 「でもねえ、君。凜さんの首に圧迫痕があったんだよ。君のお父さんとお母さんに迷惑をかけちゃいけない。早く本当のことを言いなさい」 「今度は泣き落としのつもりか、バカ。俺が犯人だという根拠を示せと言っている。それが出来ないなら帰るからな。任意だろ」 「帰さないよ。そんな事より早く自白しなさい。それが君のためでもあるのだから」 ゼノはあきれて、席を立つ。すると、警察官は吠える。 「公務執行妨害です! 応援を要請します!」 「何もしてねえだろ」 ゼノは、公務執行妨害で逮捕されてしまった。今度は手錠と腰縄で椅子に縛り付けられる。 「早く自白しないと、もっと酷い目に遭うよ」 「卑怯だぞ、お前ら! 根拠を示せ! 自白を強要しやがって!」 「根拠根拠うるせえんだよ! ロリコンが! お前以外に殺害のチャンスはないんだよ!」 「黙秘する! お前らと話しててもラチがあかねえ!」 「おお、黙秘権を使えよ。ロリコン野郎が!」 追い詰められるゼノはどこか余裕があった。そして次の日に釈放される。一夜の留置所生活は酷だったが。 ゼノは、黒いスーツを着た男と喫茶店で話す。 「遅くなって悪かったね、黛君」 「ピンチの時は、ちゃんと圧力を掛けてくれないと」 「これでも急いだんだよ。近山凜さんだったかな? 本当に殺ってないよね?」 「100万回、警察に聞かれた」 「つまり、殺ってないと」 「凜は、俺とアッツのマスコットだった。殺す訳ない。俺が一番悔しいよ」 「〝見えなかった?〟」 「最近、調子悪かったから」 「大丈夫かい。君にはまだやってもらわないと」 「分かってる。契約だから」 「では、今日にでも次のエアハートを」 「大事件?」 「来週、外国の要人が日本に来る。予行演習だよ。これは今日の分」 スーツの男は、薬と100万円の札束をテーブルに置き、ゼノの方へ差し出す。ゼノは、それをポケットに入れる。 「これ飲むと気持ちよくなるんだよな~」 「できれば使わせたくないけど。まあ、風邪薬だって体内でモルヒネを作り出す作用があるからね」 「じゃあ、見えたら連絡するよ。帰るね」 「送っていこうか」 「そうだな、近山宅まで頼む。GTRが無いと、どのみち出来ないから」 「変わってるな、君は」 「エアハート自体、変わってるだろ?」 「まあ、確かに」 ゼノとスーツの男は、喫茶店を後にして、黒塗りのセダンで近山宅へ向かう。
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