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王子さまとオオカミ
「地球でさいしょにできた友だちのことを話そうか。きみはぼくのにばんめの友だちだけどさ。」
「二番目ねえ。まあ、それよりも、僕と坊っちゃんは友達なんですかね。」
「あたりまえじゃないか。あいさつをして、きみはぼくに鶴を作ってくれた。それでじゅうぶん友だちだよ。で、そのさいしょの友だちなんだけどね、農場のそばの森に棲んでいたんだ。」
「森って、人間じゃないんですね。」
「うん、彼はオオカミだったんだ。ある日、ぐうぜん彼と出会ったとき、ぼくが“こんにちは”って言ったら、彼も“こんにちは”って返してくれた。それから友だちさ。」
「仲良くなれたんですね。」
「でも、彼は悲しそうな顔をするんだ。楽しい時間はあっというまに過ぎてしまうって。それで、もうすぐお別れだって。でも、またあした来てくれたら“いいこと”を教えてくれるって。」
「“いいこと”って?」
「そうだね。それは、きみが自分で見つけることだよ。」
ふと、僕は目を覚ました。いつの間にか寝ていたらしい。キーボードがなにかで濡れていた。
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