王子さまと折り紙

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王子さまと折り紙

「ねえ、鶴を作ってよ。日本人なら誰でも折り紙できるんでしょ?」 砂漠の真ん中でオートバイのエンジンが壊れて困っていた僕に、突然その金髪の男の子は話しかけてきた。 「困ったなあ。僕、今忙しいんだ。それに、折り紙なんてもう何年もやってないし、変なのしか作れないよ。」 「それでもいいから、早く折ってよ。ぼくの星、虫がたくさん発生しちゃって。鶴って虫を食べるんだよね?」 「仕方ないなあ。じゃあ、下手だけど鶴。はい。」 「わあ、ありがとう。これでもう虫の心配はいらないね。」 それが、僕と王子さまとの出会いだった。 そんな与太話をしながら、喫茶店のテーブルの上にあるナプキンで鶴を折って、僕は向かいの席のゆきに見せた。 「あんた、ホント下手だね。いろんなことが。」 そういいつつ、鶴の首に掛かった指輪を観る彼女の顔は笑っていた。
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