0人が本棚に入れています
本棚に追加
夜の7時。
何も考えれなかった。私が今知る事は、ネオンの光の痛さと前から来る人に当たらない事だけだった。
「あの人はどこにいるのだろうか」
口からほつりと漏れ出た声を眠気覚ましに、空を見た。
鱗雲が、まだ力を保ち、地平線に沈む太陽に微かに照らされ、私の上空に大きな空があることを知らしていた。
繁華街をゆっくりと抜け、良い匂いがする方へ歩き続けた。
飲まず食わずで歩き疲れ、道端に倒れ込んだ。
仰向けに倒れていると変に注目されると思い。近くの石垣に背を掛けて座った。
今が何時かなんて興味がなかったが、上空に鱗雲があるかわからない暗さだった。
あれほど存在感のあった。鱗雲は最早私の記憶にしかいないのだ。
彼女だって、私の記憶の中にしかいない。
最初のコメントを投稿しよう!