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私はミミズの様な男だ。ミミズでも道で枯れ死ぬ迷惑な存在だ。
肥沃な大地に生まれて、何不自由無く生きれると言うに、少し遠くに見える名も無い花に惹かれて、先祖代々の安住の地を抜けて、太陽の直射日光に焼かれて、汚い汁を通った道に残しながら、後もう少しで着くと言うのに死んだミミズだ。
遠くまで来た。
もはや後戻りする体力なんてない。
名も知らぬ街、ネオンの眩い光が私の目蓋に刺さりながら垂れ下がる。地面まで光が垂れ下がる。
ことの始まりは電車の中だった。
通勤ラッシュ時間を避けて電車に乗ると一人の女を見かけたのだ。
顔は普通で背も普通だった。
平凡的な女だった。しかしどうにも自分自身に自身がある種類の女の顔をしていた。
テレビに出ている、女優等と同じく自信が顔に滲み出ていた。
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