秘密

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遊園地って…こんなに… 大きかったけか… 辿り着いた遊園地は最近人気で、主に絶叫系を押しているらしい。 彼女は何度か来ているようで、慣れた感じでどんどん先へと進んでいく。 遊園地なんて…何年ぶりだろう… 「舞くん!!早く!! 大丈夫!!怖くないよ!!」 「…っ!だから!違うっての!」 デカい声でそんなことを言うな! さすがに恥ずかしいっての。 もはや人目ってやつのことはほぼ忘れているらしい。だが、そんな彼女のことを見ていたいと思ってしまっている。 まるで子供だな。 そう。まだ彼女は高校生だ。 元気で、好奇心旺盛で。 だけど、少しずつ大人になってきていて。立ち止まったときに見せるふとした表情は、美しいとすら感じる。 「よし!!一発目はこれね!!」 辿り着いたアトラクションは定番のジェットコースターだ。 ただし、ここのジェットコースターはちょっと違うらしい。 なんでも、かなりのスピードがあり、落差も激しく、心臓に悪そうだ。 いや、決して、ヒビってはない。 「大丈夫だって!ねっ!?」 「大丈夫だって言ってるだろ」 …正直に言おう。 少し、ヒビっている。 いや、それは…まあ… 学生の頃にはよく乗ったのだ… あの頃は全く怖くなかったし、寧ろ好んで乗っていた。 しかし、社会人になり、こういった所に来る機会もほぼなくなった。 要するにブランクがあるのだ。 何でもそうだろう。 経験していたものでも、期間が空けば初心者と同じになることだってある。 そういう時はイージーなものから入れば、意外と問題ないものだ。 現状を見てみよう。 私は、遊園地が久しぶりだ。 以前は問題なく絶叫系に乗っていた。 しかし、だいぶ期間が空いている。 これが優しめの絶叫系だったら… 私だってこんなにヒビらない。 だが、私に今渡された課題は、国内でもトップクラスのスピードを持ち、落差は相当なものらしい。 それに乗れと? ビビるはそりゃ… 手汗が酷い。体に悪そうだ。 「ねっ!?大丈夫…だよ!」 そう言いながら彼女は私の手を静かに握った。華奢で小さいが、温かい手で。
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