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覗き込む彼女の顔は、ほんのりと赤くなっているように感じられた。
私は今、どんな表情をしているだろうか。彼女と同じように頬を染めているだろうか。それとも、変わらずいつも通りの顔をしているだろうか。
そんなことも自分では分からなくなるほど、ぼーっとしてしまった。頭が真っ白というやつだ。現実に頭が全く追いついていない。
ただ確かなことは、今、私は彼女と手を繋いでいて、手がとても温かくて、体がとても暑く感じるということだ。
どこかから『いい加減にしろ』って聞こえた気がしたが、聞こえないふりをした。まだ頭の中で何か言っているが、もうどうでもいいのだ。
なぜなら、こうしていたいから。
ただ、それだけだ。
それとこれとは別で…
近づくジェットコースターへの恐怖は、高まっていく…
「大丈夫だよ!大丈夫だからね!」
あれ…そういえば…
随分握る力が強くなってないか?
ちょっと痛いくらいになってきたな…
もしかして…
「なあ…」
「…ん?」
「もしかして…」
「…ん?」
「怖いのか?」
何だ?そのびっくりした顔は?
「…そっ!そっそんな…わけっ!
ないじゃん!!」
「プッ…!ハハハハッ!」
私は思わず吹き出してしまった。
何だよ。怖いのはお前もか…
「…なっ!そんなに笑わないでよ!
しょうがないじゃない!
いけると思ってたら…
だんだん怖くなってきちゃったんだから」
「ごめん、ごめん。
そうだよな。やっぱ怖いよな」
「そうだよ…
って!やっぱ怖かったんじゃん!」
「まあ…久々だからな…」
「でも、大丈夫だよね?」
「ああ、大丈夫だよ」
私は少しだけ強く彼女の手を握り返した。
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