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しかし、委員会のいくつかには名前が書かれていた。運動委員会のところには工藤雅之と書かれている。マサの奴、いつの間に!
「あー、なんかアンタが私と話してる間にみんな立候補してたみたいよ。後は学級運営委員会と清掃委員会くらいしかないわねー」
後ろから煽るように舞依香が言葉をぶつけてくる。俺は絶対に振り返らない。ニヤニヤしてるのが目に見えているからだ。まぁ、でも、清掃委員会なら、そんなに大変じゃないだろう。駄々をこねて清掃委員会まで他の人が担当することになったら残りは学級運営委員会しかなくなる。それだけは避けなければならない。
「じゃあやりますよ。清掃委員会」
「そうか、やってくれるか。いやー助かったよ。清掃委員会は人手が足りなくてな。いくらいてもいいんだよ」
兵藤先生は心底安心したように肩を下ろした。人手が足りないって……そんなに大変なのか?
「良かったじゃない? やりがいありそうで」
後ろの席の舞依香は笑いをかみ殺してる。もう反応するのも癪なので俺は相手をしないことに決めた。
「じゃあ後は学級運営員会だが……」
兵藤先生は言葉を切り、クラス中を見回すが中々手が上がらない。流石に皆も渋るだろう。見るからに大変なのか伺えるからだ。しかし永遠に続くかと思われたその沈黙はすぐに切り裂かれた。
「じゃああたしやりますっ」
クラス中の視線が声を発した主に集まる。
「そうか成瀬! やってくれるか!」
「去年もやってたので別にいいですよ」
成瀬さんがそういうとクラス中から拍手が起こった。後ろの席の舞依香は声まで出して囃し立てている。うーん、なんであんないい子が舞依香の友達なんだろうか……。
「じゃあ皆の協力もあって少し早いが、ホームルームはこれで終わりだ。あ、會澤。今日、理科室で早速清掃委員会の顔合わせがあるみたいだからよろしくな」
「え!?」
「2年生始まって早々忙しいね。頑張ってね哲也」
始業式早々なんで俺がこんな目に合わないといけないんだ。俺は思わずため息をついてしまった。
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