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2年B組の教室に入り、まずはマサと黒板に貼られている座席表を確認する。俺の予想通り、俺は出席番号1番で、席も廊下側の1番前の席だ。後ろの席にはやはり舞依香がいる。
舞依香の方に視線を向けると、俺の席に座っている女の子と楽しげに話している。
「ちょっとごめん」
「あ、會澤くん。ごめんね。席借りちゃって。今どくね」
俺の席に座っていたのは1年の時クラスが同じだった成瀬さんだ。
「いいよそのままで。どうせ哲也はマサのところ行くでしょ」
「なんで舞依香が答えてるんだよ」
「あはは。二人とも仲がいいね。オシドリ夫婦みたい」
成瀬さんは口元を抑えてクスクス笑っている。
「ちょっとやめてよ。私には池ヶ谷先輩っていう運命の人がいるんだから。あ、そういえば桃香聞いてよ! 今朝ね、池ヶ谷先輩にコイツと二人乗りしてるの見られて……」
舞依香は散弾銃のように次々と言葉を成瀬さんにぶつける。そんな舞依香の話に嫌がりもせずにニコニコと聞き入る成瀬さん。よっぽどこの二人の方が名コンビだ。俺は荷物だけおいて、マサの席に向かった。
「おっす哲也。舞依香ちゃんの前の席なんだな」
「あぁ……。これがしばらく続くと思うとげんなりだよ。耳がキンキンする日々が続きそうだ」
「ははっ。仲良くできる内に仲良くしておいた方がいいって。舞依香ちゃんは……」
その時、予鈴が教室に響いた。
「っと、話はここまでだな。哲也も席に戻れよ」
「ああ……」
今、マサの奴、何か言いかけていたような気がするけど……。まぁ大したことじゃないだろうな。もう成瀬さんも自分の席に戻っている。俺はようやく自分の席に座ることができた。
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