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「お前確か何も部活に入ってなかったよな?」
ここで頷こうものなら委員会入りは半ば決まったようなものだ。冗談じゃない。高校2年生ライフを送るのに足かせになりそうな委員会なんかに入ってたまるか。
「あーでも、俺、2年生から新しく部活に……」
「いいじゃん哲也。委員会入りなよ! どうせ暇だし」
舞依香の嬉々とした声に兵藤先生は目を細めて満足そうに頷く。
「そうかそうか。入ってくれるか。今、黒板に対象の委員会を書いていくからな。好きなのに立候補してくれよ」
そう言うと兵藤先生は黒板の方に向き直り、白いチョークでカツカツと文字を書いていく。学級運営委員会、体育委員会、清掃委員会……。見るからにめんどくさそうな文字が羅列されていく。
俺らはこうなる元凶となった舞依香の顔をにらむ。
「どうしたの哲也? 可愛い幼馴染の顔でも拝みたくなっちゃった?」
「なんでお前あんなこと言ったんだよ!」
「えー、だってさ、1年の時に私が必死に汗かいてフットサルやってる横で呑気にヘラヘラ笑いながら帰る哲也を見たらむかっとしてさ。いいじゃん。委員会の一つや二つ」
「入るにしても一つしかやらねーよ」
大体、舞依香は好きでフットサルをやっている。俺は嫌々委員会に入る。全く状況が違うじゃないか。
「あーでも学級運営員会とかはやめてよね。あんたにクラスを運営されたくないわ」
「お前な! 元はといえばお前が……」
「會澤! どれに入るか決まったのか?」
兵藤先生の声は心なしか嬉しそうに聞こえた。俺は仕方なく、黒板につづられた委員会名を目でなぞる。
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