序章 クロノス・カタストロフィ

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  時間魔法・マスター過程の教室には、すでに生徒が詰めかけていた。司は後ろの方に座らざるを得なかった。   司は教室を観察しながら待つことにした。   教室の左右に、いくつもの時計があった。全て金色で、せわしなくチクタクと音を放っていた。もはやシンボルマークになり始めた歯車は教室中に張り巡らされていた。   一学年全員の授業ではないので、生徒数は四分の一で、そこまで窮屈ではなかった。   最後尾に座り、空っぽの教壇を見ると、大きな古時計があった。   背後から扉が開く音がした。   司は教師だと思って振り返ったが、コンクエスタだった。司と真反対の隅っこの席に座り、こちらを絶対に見ようとしなかった。   司は教壇にある時計を見た。   あと五分で授業が始まるはずだ。   じっと待ち構えていると、長針が天辺を指差した。   ごーん、ごーん、と音がする。   扉がまた開いた。   今度こそ、教師が入ってきた。   背が低い老女だった。ミサンガを身体中に垂らし、だぼだぼのマントを羽織っている。腰は曲がっていないが、まっすぐでもない。  ホークとは違って、どこかとぼけたような表情をしていた。ゆっくりとした歩みで、教室の中央を歩いたかと思うと、忽然と消えた。 「御機嫌よう、みなさん!」   急に若々しく、張りのある声が響いた。   全員、教壇を振り返り、ぎょっとした。   身体中にミサンガを垂らし、マントを羽織った若い女性が立っていた。   顔は非常に若々しく、肌に張りがあり、しかも艶があった。髪は長い金髪で、太陽の下で輝くレモンを連想させた。   表情は自信に満ち、口元に浮かぶ微笑みは、若さのなせる技だった。 「先程の老女は、私だ。  時間魔法を極めれば、若返ることもできるし、逆に歳を重ねた自分になることもできる。  これは、とても召喚魔法に近くてねえ。魔法とはそもそも、遠い世界から自分を強化するものを呼び出すことと定義されている。  そういう意味で言えば、魔法の区分なんてものは実際存在しないのかもしれないね」   教師だと思われる女性はミサンガを振り回しながら、さっと振り返った。   黒板があった。 「私の名前は、クリスティ・ロマノフ。時間魔法の使い手で、老いを克服した存在だ。  時間魔法に素養があれば、私のように永遠に生き続けられる存在になるというが、正直に言って険しい道だ。  ともあれ、みなさんの第一の目標は、許可書に載っている魔法を全て使えるようにることだ」   クリスティは時間魔法、と大きく黒板に書き、全員を振り返った。 「では、質問だけど、時間魔法にもっとも必要な素養とは一体なんだろうか?  よし、では最後列のかわいそうなお友達からだ」   司はぎょっとした。   そんなこと考えたこともなかった。 「ふふ、百パーセントの答えなんか期待していないし、そもそも、百パーセントの答えなんてないから、自由に答えてごらん?」   クリスティは明らかに司を見ていた。   とても刺激的な視線で、若さに溢れているので、眩しかった。   司は立ち上がった。   考えること数秒だった。コンクエスタは司を注視して、絶対にどんなことを言おうとしているのか一言一句聞くつもりに見えた。   司はうつむいていた顔をあげて、息を吸い込んだ。 「時間感覚だと思います。体内時計や、リズム感覚、正確な時間感覚が時間魔法を強くします」 「それは、教科書の答えだね。君の考えを言いなさい」   クリスティは司を真っ直ぐに見つめて、微動だにせず問い直した。 「ど、どんなことに使うかを、はっきりと見定めること」 「……続けて」   クリスティが、目を閉じたので、司はまごついたが、クリスティは再び先を促した。 「不老不死になりたいとか、時間を操り、利益を得たいとか、そういう、目標のようなものを定めて研鑽することで、きっと上達が早くなるのではと」 「みずみずしい意見だ」   クリスティはぱちぱちと手を打ち合わせたが、ほかの生徒は司の言うことがよく分からないようだった。   司は辺りを見渡しながら、椅子に座った。  やはり、何かおかしなことを言ってしまったらしい。  今のは、小さい頃に読んだ本に書いてあったことを自分なりに解釈して魔法に置き換えて言ったにすぎない。 「いいだろう。では、コンクエスタ、君だ」   クリスティは司の反対側を見つめた。   コンクエスタは立ち上がる。 「圧倒的な魔法力」   それだけを唸るように言って黙り込んだ。どすりと音を立て座り込むと、コンクエスタは司をせせら笑った。   それに乗じて、ほかの生徒たちも司をせせら笑い、さざ波のようにそれは広がった。司は自分の顔が赤くなるのを感じた。   やはり、この世界では才能イコール魔法力、であるらしい。 「私は毎回、それを正すんだ」   クリスティはやれやれと肩をすくめ、教室中をじっと見つめた。   金色の髪をするりと撫で、毛先を投げ出すとクリスティは教壇を降りた。 「魔法力は素養じゃない。研鑽によって手に入る力なんだよ。  いいかい、これから君たちは長く魔法と付き合い続ける。  この時点での魔法力なんて、正直に言ってどんぐりの背比べなんだよ。  この世界の派閥というのは、本当に馬鹿げたシステムを作ったよ。  若いうちから変なことを教えてさ……」   生徒たちが憤慨したり打ちのめされたりするのを楽しそうに見ながらクリスティは続ける。 「まあ、無駄ではないけど、誇るほどのものでもない」   クリスティはフォローをしたが、焼け石に水だった。 「では、私の意見を言おう!   時間魔法に必要な素養は、時間というものの恐ろしさと難解さ、危険性を理解することだ。  時間魔法によって、我々は時間を少なからず操り、ねじまげてしまう。  そういったことの危険性を知ることで、時間魔法の最奥にいきつくことが許可される」   歌うように滑らかな声で言い終えた後、クリスティはニコリと笑った。   忠告をしてくれたのかもしれない。   今の意見からすると、圧倒的な魔法力という答えは、すごく危ういもののように感じる。   司と同じように感じた生徒は一人もいないようで、相変わらず憤慨を露わにしてクリスティを睨んでいた。 「では、最初の魔法、そこにある時計の針を操って見なさい。正確に、一秒、一秒を刻むこと」   クリスティが手を広げると、女生徒が苛立たしげに手を挙げた。   クリスティは問いを投げるように女生徒に視線を向けた。女生徒はクリスティを睨んだまま、立ち上がった。 「そんなこと、私たちはすでにマスターしています。できないのは、最初に回答した男子だけかと」   また、嘲笑が渦を巻いた。渦中には司がいた。 「本当にできていたらね」   クリスティはにやりと笑った。   女生徒は喧嘩を売られたのだと思ったのか、すぐに踵を返して、時計を取りに行った。全員、いきり立って、時計を取りに行ったので、司は気後れしてしまった。   割り込まれたり、突き飛ばされたりしながら、時計の置いてある場所に辿り着いた。   ぼろぼろの時計しか残っていなかった。   司は渋々ボロ時計を取り上げて、机に向かった。   虫食いのある机の上にボロ時計を置き、椅子に座る。 「やり方は、教科書に書かれているよ」   司は急いでページをめくった。ぱらぱらと四ページを見ると、やり方が記載されていた。   歯車を操る魔法を使って、正確な時を刻むように、回していく。歯車がくるくると回っているのが分かったら、早めるか遅めるかして、最寄りの時計とタイミングを合わせる。   時計に触り、魔力を込めると、短針と長針が勢い良く回り始めた。   司はすぐに魔力の供給を弱めた。さっき、何度か練習をしていたので、魔力をどうすれば込められるのか、逆に弱められるのかを知っている。   ペンダントに、自分を預けるような意識を作る。すると何か熱いものが、腕を通り過ぎ、時計に伝わっていくはずだ。   この流れを、いかにスムーズに流すことができるのか。   短針と長針が、またくるくると回る。   司は中心の古時計に視線を向けた。   古時計とボロ時計の針を正確に合わせて、魔力を循環させ、時計を正確に操っていく。   自分のやり方が合っているかよく分からなかったが、時計はかなり正確に時間を刻んでいるように見える。   クリスティは生徒の一人一人を見て回っていた。   全員、四苦八苦していて、クリスティに手直しされていた。   ここに来るまで随分と時間がかかりそうだと思った。   司は長針が二周りした頃には、少しだけ退屈になって、机に伏せた。欠伸を我慢しながら、じっと時計を見つめる。   思ったよりも簡単だった。   時計は正確に時を刻んでいるし、それが負担にもなっていない。   ちょっとだけうとうとしていると、クリスティの両目がこちらをじろっと見ているのに気づいた。司はぎょっとして、身体を起こす。 「退屈かい?」 「いえ、そんなことはありません」 「正直に言いなさい。退屈だろう?」   クリスティはいたずらっぽく笑って、教室を振り返った。 「これが、正解」   司がくるくると回している時計をクリスティが指し示した。 「君たちは、いきなり高度な魔法を習うことによって、魔法力の『力』という点では、明らかに未経験の子を圧倒しているけれど、魔法に必要なのは、正確さなんだ」   クリスティは司の時計を取り上げて、右手に持った。 「君たちには、歯車を回す魔法を使って、こういうふうに……」   右手で持ち上げられた時計の針が奇妙なうごきを見せた。反対周りになったり、時計回りに戻ったり、ある時点でぴたりと止まったり。 「自由に時計を動かせるようになってもらうことになる」   言いつつ、司の時計は元に戻された。   コンクエスタが歯噛みしているのに気づいた。  司はなるべく歯牙にもかけていない様子を見せないように、唇を微妙に歪めた。歯牙にもかけていない様子を見せると、ますます反感を買いそうな気がした。   多少、嬉しそうにするつもりだった。   もちろん嬉しくないわけではないが、誇らしくは思わなかった。  努力して得た結果ではなかったから。  むしろ、努力を続けてきたみんなが報われないのが少し気にかかった。   司の複雑な表情を見て、生徒たちはみんなふん!  という顔をした。 「さて、じゃあ練習を続けること。平井君、と言ったかな?  君は、次のステップだ。反時計回りに同じことをしたまえ」   クリスティは言い残して、また全員の魔法実習に戻っていった。   司は反時計回りに時計を回転させるために、魔力の流れを変えた。   これも、大して難しくはなかった。   時計は面白いように回ってくれた。時間も一秒刻みで正確にだ。司はあくびを噛み殺しながら、時計と睨めっこをした。   この魔法には、おそらく照準のようなものがないから、上手くできているのだと思う。けれど、歯車を飛ばすような魔法は、照準が合わずに失速してしまう。   司はちょっとだけ焦っている自分に気づいたが、すぐに首を振った。   苛立ちが伝わったのか、時計がものすごいスピードで回り出したからだ。   司はあわてて魔力の流れを切った。   時計は元のように回り出した。 「退屈なら次々!」   肩を叩かれてぎょっとしていると、クリスティが教科書の次の部分を指差した。   十秒ごとに、時計回りと反時計回りを切り替える。   司は作業を続けるふりをして、周りを見渡した。全員、力が強すぎて、力を弱めるのに四苦八苦しているようだった。   ホークは、魔法を教えてくれなかったが、その原因がこれだったのかと、理解できた。  それならそれで、時計を操ることを教えてくれたって良さそうなものだが。   司は、ちょっとだけホークに不平を言いたくなった。   それでも、クラスの中で一番に進んでいるのは間違いなく司だった。   司は十秒の間隔で、魔力の流れを切り替えた。これは、少しだけ難しかった。  退屈で、十秒の感覚をすっかり忘れそうになるからだ。  司は、必死で退屈と戦い、もういいやと思った時に、教科書を見下ろした。   教科書には次の手順が書かれている。   きっかり二倍の速度で、時計回り、反時計回り。二十秒ごとに方向を入れ替える。   ちょっとだけ難しくなってきた。   司はついに、うきうきと身体が弾むのに気づいた。気づけば時計にしがみついて、ひたすら集中と探求の世界に没頭していた。   次、   できる限り早く一回転。時計回り、反時計回り交互に。   次、   上記を二回転で。   司は、次、次をくりかえして、ページをめくったが、終わり、と書かれていた。   気づけば、クリスティが司の後ろで目を見張っている。   司は少し驚いて振り返った。   時計の針が酷使されすぎたのか、ポキリと折れた。 「時間魔法の補習を受けることになってたよね、君?」   司は頷いた。 「チャンスだと思いなさい。私の手ほどきが受けられる」   クリスティは耳元でささやき、さっと離れていってしまった。 「時間だよ、ではこれにて解散」   気づけば、古時計が二時半を指していた。   司は急いで時計を元の場所に戻し、教科書を持って次の教室へ向かうことにした。   星座魔法がもうすぐ始まるはずだ。   司は、早く、ヤクートやユリィに成果を教えてあげたかった。   もしかすると、ヤクートもユリィも同じような体験をしていたかもしれない。   教室を真っ先に飛び出すと、ヤクートとユリィがしょげ返って立っていた。   何が起きたかは想像に難くなかった。 「授業、どうだった?」   それでも 司が尋ねると、二人はそれぞれ顔を見合わせた。 「どんな空間を作っても、森になっちまうんだよな、俺」   ヤクートは精一杯の強がり笑いをしていた。   ユリィはというと、星座表のようなものを見下ろして、震えていた。 「いきなり、サジタリウスっていう攻撃魔法を教えられたんだけど、私、上手くできなくって、こんなに小っちゃな弓ができるだけ」   ユリィは顔を真っ赤にしながら、射手座を指で描いた。ユリィの前に出てきたのは、子供用のおもちゃにも満たない、本当に小さな弓だ。 「たくさん出せるんだけどね」 「数だけは一丁前」   ヤクートがからかう声に、ユリィは泣きべそを掻きそうだった。   司はユリィから弓を受け取って、じっと見つめた。なにか、名案が浮かびそうな気がしたのだが、アイデアは泡のように弾けて消えてしまった。   司がしばらく見ていると、弓は光の粒になって消えてしまった。 「次は、星座魔法講習だったね」 「私、あの先生は嫌いだな」   ユリィはおそらく、星座魔法の先生のことを言っているのだろうと、司は想像した。   その通りらしく、ユリィは星座魔法の教科書を重たそうに見つめていた。   三時間続けて嫌な学科、というのは本当に厳しいだろう。 「とりあえず、移動しよう。ユリィも教室で待っていればいいのに」 「だって、肩身が狭いだけだし」   ユリィはそっぽを向いて、すたすたと歩いて行ってしまった。 「それに、平井君もヤクートも迷っていると悪いし」 「そんなに方向音痴に見える?」   司は首を傾げて見せた。   ユリィは肯定も否定もせず、司を振り返ってじっと見つめた。   そのあと、さっさと教室へと向かってしまった。 「お前を友達だと思ってるから、すぐ会いたかったんだろ」   ユリィの態度の意味を問おうとヤクートを見ると、あくび混じりの答えが返って来た。 「それか、女心と秋の空だろ」   司は吹き出してしまった。 「いや、的外れじゃないと思うぜ。あいつ、俺以外では初めて男と口を利くくらいだからな。  深窓の令嬢って感じだったんだぜ。  初めて出会った同年代の男に、何かそういう意識を持ったって不思議じゃない」 「君だって、同年代の男じゃないか」 「あいつ、俺のことは人間じゃないと思ってるんだよな、きっと。野蛮な猿だって思っているのさ」 「そんなことないさ。人間として扱われているように見えるけどね」   ヤクートと司は肩をぶつけあって、くぐもった笑いを交わし合った。 「君が野蛮な猿なら、コンクエスタはなんだと思う?」 「ああ、塩をかけられたナメクジだな」 「そこまで酷いかなあ?」   尚もくぐもった笑いを交わし合っていると、ユリィが立ち止まり、物問いたげに振り返った。   二人はすぐにユリィの隣を囲んで歩いた。 「私の悪口を、言ってたの?」   ユリィは涙目で、司をじとっと見つめた。   心細そうな声だった。 「コンクエスタのさ」 「塩ナメクジのだよ」   司とヤクートは同時に答えた。コンクエスタが司で、ヤクートが塩ナメクジだ。   ユリィが弾けるように笑い出した。 「なあにそれ!」   ユリィからは緊張の糸が切れたような気配が漂って来た。   ユリィがこういう冗談で笑うのは意外だった。 「ユリィは、さっきコンクエスタの手下にいじめられてたんだ」   ヤクートがこっそり耳打ちした。   司は鬱憤ばらしに付き合うことにした。 「ヤクートが猿で、コンクエスタが塩ナメクジっていう結論に達したんだよ、さっき」 「ヤクートが猿?  なんで?」   ユリィはきょとんと目を見張った。 「すると、ヤクートの独り合点だったんだよ、ほら」 「人間だと思われてたのは嬉しいけど、そうなると、俺を好きにならないのはおかしくないか?  なんで、こんなひょろひょろのがいいんだよ?」   ヤクートはもちろん冗談のつもりで言っているらしいが、ユリィはそうは思わなかったようだ。 「だ、だって、ヤクートは乱暴だし、そもそも、平井君は別に好きでもなんでもない。尊敬はしてるけど」 「おやあ、別にお前が司を好きだっていうふうに指摘した覚えはないんだけどなあ」   ヤクートがにやにやした。   ユリィは子猿を呼び出そうかと構えたが、すぐにそっぽを向いた。 「本当に、尊敬しているだけ。私が好きじゃ、平井君だって迷惑だと思うしね」 「とのことだぜ、司」   司は少しだけ胃が落ち込むのを感じた。   ユリィに感じてる気持ちがなんなのかは自分自身、よく分かっていなかったが、尊敬で片付けられると、やっぱり他人行儀な気分だった。   司は、自分がひどくむっつりしているのは承知の上で、口を開いた。 「考えてみると、まだ二日の出会いだしね」   司の言葉を聞いた瞬間、ユリィは凍りついたように立ち尽くしてしまった。   ヤクートは不思議そうに指を折っていた。 「たしかに、二日だな。もう、一週間も二週間も一緒な気分だよ」 「別に、二日でもいいよ」   ユリィはさらに不機嫌になった。 「時間だけが問題じゃないと思うから」   ユリィは歩調を上げたが、ちゃんとついていけるスピードだった。 「女心と秋の空か」   司が呟くと、ヤクートがにやりと肩を寄せてきた。 「納得?」 「すごい納得」   司とヤクートは顔を付き合わせ、肩をすくめあった。   その頃にはユリィは階段を上り始めていた。   二人は急いで追いかけ、ユリィをどうやってなだめすかすか考え始めていた。   ユリィは教室に近づくにつれて、無口に近づくばかりだった。   星座魔法の授業は、星座の種類を覚えるのに終始した。  司は大体を覚えていると思っていたが、虚数世界には司の知らない星座が百何十個もあるらしく、覚えなければいけないことは他にもあるらしい。   魔法は一度も使わなかったので、ユリィは帰り際にはすっかり元気になっていた。   三人は、チガクの教室に向かった。
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