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その日の明け方、
学の家族が、静岡から病院へ駆けつけた。
13年間付き合ってきて彼の家族と会うのは初めてだった。
もちろん、「恋人」としてではなく「担当医」として。
学は自分は母親に似ていると言っていた。
その通りだった。
泣くと、くしゃっとなる顔もそっくりだった。
父親は冷血だと言っていたが、
学の亡骸を見て、大声で取り乱していた。
元々ノンケだった学は
そんな両親にも兄弟にも、友人にさえも
僕とのことをカミングアウトをしてはいなくて、
僕たちが恋人同士だったことを
僕の目の前にいる家族は知る由もなかった。
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