黄昏ぼっち

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 僕は彼女の肩の向こうに広がる景色を、ぼんやりと眺めた。夕闇に山の稜線が焼かれ、世界が少しずつ燃えて、枯れていくのが見える。彼女の心を割って開いたなら、きっと同じ色なんだろうな、と僕は思った。  血潮みたいに、なんて真っ赤な、真っ赤な、夕焼け空。  そして最後にふと、黄昏の川原の向こうの方に、真紅の彼岸花が咲いていることに気がついた。  ぽくはその花言葉を思い出しながら、彼女の小さな体から発せられる微かな鼓動を、いつまでもいつまでも、懸命に感じていた。
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