2人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女から伝えられた駅に降り立つと、僕の視界に現れたのは、駅前の寂れた商店と、その奥にぽっかりと構える一面の山々だった。晩夏の山の木々はまだ赤く染まってはおらず、吸い込まれそうな濃い深緑色をしている。寂しげな駅舎を出て、駅前に唯一ある赤い自動販売機でコーラの缶を買うと、僕はそれを一気に飲み干した。
「…春樹くん。」
突如かけられた声に振り向くと、そこには彼女…夏美が立っていた。僕は久々に会った彼女の顔を見て、かつて彼女と過ごした日々を思い出した。
最初のコメントを投稿しよう!