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「春樹くんはギターも始めて勉強もしっかりやってて。大学生してるなー。」
「いや、夏美も大学生でしょ。」
彼女がおどけたように言うので、僕がそう返すと、彼女は笑いながら、手を降った。
「はは、私、大学休学中なんだよね。」
僕は予想外の返事に、一瞬固まった。
「え…なんで?」
「うーん、ま、色々。」
僕が聞くと、彼女ははぐらかすようにそう言って、また目を下に向けると、空になったスティックシュガーの袋をいじり始めた。
「まあ、よくある充電期間みたいな感じかな。今年の春から休んでるよ。」
「そうなんだ…まあ、そういうの、大事だよね。何事も休むときは休まなきゃね。」
僕はなんて言えばいいか分からず、適当に返しながら、彼女の手に目をやった。彼女の左手の中指と薬指のあたりには、赤いかさぶたの跡があった。
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