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紗季と出会ったのは、大学に入学してから3ヶ月ほど経ったときだった。
俺は高校の時からバンドの真似事をしていた仲間と一緒に軽音楽部入り、好きな音楽とギターと仲間に囲まれて充実した大学生活を送っていた。
いつものように部室で練習をしていると、ひとりの女性が部室を訪ねてきた。
こんな男ばかりが集まってギターを弾いているような場所に全く似つかわしくない、可愛らしい女性だ。
清楚な白いワンピースを着た女性がドアの前でふわりと笑った。
一目惚れだった。
彼女はボーカルの夏樹の幼なじみで、名前を北川紗季といった。
夏樹に頼まれてゼミのノートを届けにきたとのことだった。
そのときは何も話すことができなかったが、それから俺は紗季を構内で見つけるごとに、笑顔で声をかけることにした。
最初は戸惑っていた紗季も、何度か顔を合わせるうちに、段々と話をしてくれるようになった。
紗季と初めて出会ってから半年が経った12月、俺は勇気を出して紗季に水族館に行こうとデートに誘った。
一緒にイルカのショーを見て水しぶきを浴びたり、小さくて可愛いカラフルな熱帯魚を見たり、大きな亀の前で写真を撮ったり、それはとても楽しいデートだった。
そして、それがきっかけで俺たちは付き合い始めた。
付き合い始めてからも、俺は紗季のことが好きで好きで堪らなかった。
どんなに忙しくても時間を見つけては会い、紗季の姿を見つけるたびに、ますます好きになっていく自分がいた。
紗季といるだけで俺の毎日はとても輝き、彩られていった。
初めて手を繋いだ日、初めてキスをした日、初めて紗季が俺の大好きなハンバーグを作ってくれた日、そして初めて紗季を抱いた日。
どれも俺にとっては紗季との大切な時間で、この想いは永遠に続くものだと思っていた。
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