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『ほれ、カワジ』
『あ〜ん』
姐さまに遊ばれるように、小リスのように頬をいっぱいにしてもぐもぐしてる姿からは、カワジの道のりは遠そうだ。
姐さまの萌え講義はちっとも意味を理解できなかったが、姐さまが楽しいのは伝わってはきた。何やら熱く語らっていたから、それだけで『うおぉぉ、姐さまってスゴイ』とカワジは感動する。
姐さまはこの場所から出れないのに、なんでも知っている。やっぱりスゴイ!! とカワジはキラキラした眼差しで座敷童子を眺めた。
もともと関心のなかったアシュラはもちろんのこと、マンもさっぱり付いていけないと早々に聞くことを諦めて碁を打ち出す。
どこまでも姐さまに忠実な家鳴たちは、姐さまの言葉に『さすがっ』『それが愛ですね』『聡明です』など愛の手を入れて盛り上げていた。
『どのへんが?』
正直にわからないことを吐露しキョトンとするたびに、家鳴たちは『はん』と息を吐き出す。
『食い意地カワジはまだまだお子様だな』
『そんなのだから、人間にばれるんだ』
『やっぱり出禁か』
『そうだ。そのままやっぱりころころになって、ころころ転がってしまえ』
せーの、とそのうち三体がころんっと転がって見せる。あっ、一体だけ違う方向に向かっていった。
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