ベイビーロボット

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「実はね、大事な話というのは紗千香ちゃんの人工知能はこの年齢までしか発達しないということなんです」  えっ?どういうことだろう。 「まさか?嘘ですよね」  涼香は目を大きく見開いた。 「いえ、残念ですが本当のことです」 「それは困ります。幼児教室だって通わせているし、もう保育園だって考えてるんですよ。この子は頭が凄くいいです。人並外れた知能を持っているかもしれないんですよ」  通訳も眉を下げて辛そうな顔をする。 「ロボットに人間は負けません」 「どういうことですか?」 「人工知能に負ける世の中なんか不可能なんです。負けさせたらいけないんです。これは国際法でも決まっています」 「どういうことですか?」 「篠崎さん、貴女はロボットに感情を深入りしすぎてます。危険です」 「だって、じゃあ、どうしろって言うんですか?!」  涼香はうわあと泣いた。社長さんは追い打ちをかけるように信じられない言葉を続ける。 「それに、紗千香ちゃんも来夢くんも成功したみたいなので量産して商品にしたいんです。サンプルとして頂けませんか?また量産品を差し上げますよ」  そんな、そんなことは出来ない。涼香は顔を左右に振った。 「嫌です、嫌です」 「でもね、この前、修理に送ってきた時に実はですね。言いずらいんですが、もうすぐ、後半年でリセットが掛かるようにしておいたんです。来夢くんも同時期にリセットが掛かります。それを避けるには私の会社に送って頂くしかないんです」  そんな、まさか。でも紗千香と来夢だけは手放したくない。涼香は口をギュッと結んでから言った。 「一からリセットされても紗千香と来夢は大事な家族です。手放しません」  夫もうんうんと頷く。
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