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「僕はゲイです。ストレートの友人に片想いをして、『好きになってごめん』と思ったこともあります。でも結局、僕らの恋愛も異性間の恋愛も、本質的には何も変わらない。喜びも、痛みも。だから、たとえあなたの好きな相手が同性との恋愛を受け入れられない人だったとしても、あなたは胸を張ってその人のことを好きでいていいんです」
これが本当に相談者の悩みへの回答になっているか、自信はない。でも、自分にはこれ以外に書けることはない。
――援護射撃してくれるみたいに感じる。
いつか唐島が言ってくれたことが耳の奥に甦る。どうかこの言葉も、この相談者にそんな風に届きますように、と祈る。
「つらい恋をしているときほど、美味しいスイーツを食べましょう。好きな物を食べられないと、どんどんマイナス思考になっちゃいますから。これは僕の実体験です!」
最後だけは少しおどけた調子で締めくくる。何度も読み返して、推敲して、ようやく納得がいったところで武田に原稿を送る。
「自分語りは控えろって言われていたのに、最後にやっちゃいました。でも僕はどうしても、こういう形でこの相談者の気持ちに寄り添いたかったんです」
メールにはそう書き添えた。
翌朝、携帯に電話がかかってきた。
「びっくりしました」
電話を取るなり、武田が言う。
「いいんですか、辛島さん」
「何が」
「こんな形でカムアウトして」
「あ、媒体的にNG? それならその部分は削ります」
「いえ。辛島さんがいいならこのまま載せますけど……」
武田の配慮に感謝しつつ、薫はきっぱりと言い切る。
「構いません。そのまま載せてください」
「わかりました」
「他は大丈夫ですか?」
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