本編 鉄と綿

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好きになるということは 愛するということは とても怖いことなのかもしれない。 好きな人に嫌われたくない 愛する人に捨てられたくない そう思ってしまったら自分自身を押し殺すことも厭わない。 だけどそうじゃなくていいのだと、愛する人自らいってくれたお蔭で私は今までほんの少し淀んでいた気持ちが一掃された──。 「ん…あっ──」 彼の腕の中でわんわん泣いた私はそのまま彼に押し倒され、彼に求めるがまま体を晒していた。 相変わらず力強く濃厚な行為に私は身も心も蕩けきっていた。 「はぁはぁはぁ…はぁ、はぁ…」 もう何度イカされたか分からない。 どれだけ抱かれていたのかも分からない。 ただ貪られる行為を受け入れ、それによって彼に対する愛する気持ちはこの上なく強固なものになっていた。 「…鉄生、さん」 「ん」 繋がったまま抱きしめられた体にほんの隙間を空け、彼は呼び掛けた私の顔を見つめた。
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