煩いスクーピィ

7/8
前へ
/8ページ
次へ
 離せこの植物。僕は暴れる。草は次々に地面から生えてきて僕に絡みつく。 「オサエロォォォ……。オサエロォォォ……」  地の底から響いてくるような声。  男の物も女の物も聞こえる。  これは……この荒野で命を散らした者の怨念か?  僕の命も奪おうって? そんなことされてたまるか。  僕は進まなきゃならないんだ。進んで、進んだ先には……何がある?   何か、大事なことが……。この先にあるのは……。 「カエッテキテカエッテキテ!!」  スクーピィの喚き声が頭に響く。降り注ぐ雨粒。巻き付く植物。怨念の声。引きずり込まれる。大地が柔らかくなっていた。進まなきゃ。その先には……その先には……。  何が待っているんだ。  何のために僕は歩いているんだ。 「オネガイカエッテキテカエッテキテ!!」  スクーピィ……ちょっと黙ってよ。  いっそここで飲み込まれた方が楽なんじゃないか。 「ダメヨダメヨモドッテキテ」  ごめんよ、スクーピィ。 「戻ってきて、あなたっ!!」  スクーピィの口から出たその声は……。  あれは……あの声は……。  友梨佳……。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加