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離せこの植物。僕は暴れる。草は次々に地面から生えてきて僕に絡みつく。
「オサエロォォォ……。オサエロォォォ……」
地の底から響いてくるような声。
男の物も女の物も聞こえる。
これは……この荒野で命を散らした者の怨念か?
僕の命も奪おうって? そんなことされてたまるか。
僕は進まなきゃならないんだ。進んで、進んだ先には……何がある?
何か、大事なことが……。この先にあるのは……。
「カエッテキテカエッテキテ!!」
スクーピィの喚き声が頭に響く。降り注ぐ雨粒。巻き付く植物。怨念の声。引きずり込まれる。大地が柔らかくなっていた。進まなきゃ。その先には……その先には……。
何が待っているんだ。
何のために僕は歩いているんだ。
「オネガイカエッテキテカエッテキテ!!」
スクーピィ……ちょっと黙ってよ。
いっそここで飲み込まれた方が楽なんじゃないか。
「ダメヨダメヨモドッテキテ」
ごめんよ、スクーピィ。
「戻ってきて、あなたっ!!」
スクーピィの口から出たその声は……。
あれは……あの声は……。
友梨佳……。
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