雨に溶けた涙

うそ。

そんなこと、ぜんぜん―――とまでは言わないけど、ほとんど本気じゃないくせに。

「……ヘンに期待させる方が残酷じゃん」

「ほーお。その言い方だと、ちゃんと気付いてるんだ？」

「……まあ、」

私も晶も、“何に”とは言わなかった。言わなくても気付いていた。

「でもさー、イイ奴じゃん、アイツ」

「…だからこそ、でしょ」

「傷付けたくないって？」

そんな大層なものじゃない。私は中園くんと“どうこうなる”つもりはない、それだけ。

そのくせ、完全に彼を突き放すことだってできない……それだけ。ワガママ。

声はなんでか出なかったから、私は軽く首を振った。

それなのに、晶は興味なさそうに「ふーん」と呟くだけ。