雨に溶けた涙

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「……今日は18日。ほら、中園くんが授業で当てられてたじゃん」 「あ、」 晶は、「しまった」という顔をして、そして少し、申し訳なさそうに眉を下げた。 「いーんだよ、そんな顔しなくて」 「……ごめん」 「だから、謝らなくていーよ」 私がそう言ってるのにもかかわらず、表情を崩さないあたり、やっぱり晶は大切にすべき友人なのかもしれない。 「……今日も雨なんだね」 「ほんと。あー帰りたくなーい」 「いっつも言ってんじゃん。天気関係なくない?」 「だって動きたくないしー」 「ダルーい」と、どこかからか似たような会話が聞こえた。雨の日はきっとみんな同じ話をする。 キラキラグループの頂点にいるような女子たちも女子トイレなんかで、ちょっと地味めの男子たちは教室の隅で、チャラチャラしてる男子たちは寒そうな廊下で、窓際にいる私たちと同じ、天気の話をする。
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