クァットロ・カンティの憂雨

1/4
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

クァットロ・カンティの憂雨

 この日もディーナは憂鬱だった。雨でも降っていたならば、そのせいにもできたかもしれない。見上げれば、憎らしいほどクリアなブルー。にがりの浮いたような自身の瞳が、この惜しみない陽光の下ではあまりにもアンマッチなこと、彼女はとうに自覚していた。  ならば何故、こんなところにいるのか――それは多分、彼女自身にも明朗には答えられない。ただ、此処で、こうすることが、敬愛する「彼女」の愛してやまないワンシーンだからと言う他なかった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!