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1 当惑
処分は戒告とボランティアサークルへの臨時参加。
大学二年進級早々、真は大学構内で同学科の男を殴り負傷させた。
喧嘩の原因は痴情のもつれ。
春季休暇中、付き合って半年もたたない彼女を寝取られた。
それ自体は自分がつまらない男だったのだと、むなしくはあったがすぐに気持ちに区切りをつけた。
新年度に入って間もなく、相手の男がやましさからからんできた。
初めは謝罪だった。
男が下らない保身を長々としたのちに彼女が不品行であると言い出したところで、逆上してしまった。
それほど深い愛情はなかったのだろうがいっときは心を許した相手、侮蔑されるのが我慢ならなかった。
みずからの背徳行為を他人になすりつけた根性に無性に腹が立った。
我を失ったことは反省している。
相手の男は殴られて当然のことを度重ねているのだ、後悔はしていない。
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