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触れられた場所に神経が集まっていくような感覚、彼の真剣な横顔へと視線が奪われる。顔が異常に熱かった。
「直人! 引け!」
彼の声に反射的に竿を思いっきり引く。持って行かれそうな強い反動の後、それがぷつりと突然切れて、そのまま彼共々後ろへと勢いよく倒れ込んだ。手を離れた釣り竿が宙を舞う。
強打した背中と頭に思わず呻いていると、隣で同じように倒れた彼が耐えられないという様子で吹き出した。腹を抱えて笑う彼を涙目で睨みつける。
「修平ー……」
「いや、お前のタイミングのせいだからな」
「修平が引けって言ったじゃん」
「あんなに思いっきり引いたからだろ」
「こっちは素人だっての!」
未だ笑い続ける彼に、ため息をついて空を仰ぐ。緊張していたせいかひどく疲れてしまった。隣で笑う彼の声が徐々に落ち着いてゆくのを聞きながら、暑い日差しに目を閉じる。彼が動く気配がしたが重たい瞼を開けなかった。顔に影がかかる。
「寝るのか?」
降ってきた声に答えることもせず、ただ体が沈む感覚に身を任せる。隣で彼が寝転ぶのを感じ、そのまま睡魔に身を委ねた。
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