揺れる

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 「いい風だね。やっぱりビルばかりの都会の空とは壮大さが違う。」  のんびりとした、佳之の声で我に返る。雄星の事を考えていた自分をごまかすように、大きく息を吸って佳之の方を向く。  「本当、空気も美味しい。」  「早起きして来たかいがあった?疲れてない?」  「私は全然。助手席に乗っていただけだもの、佳之さんこそ運転で疲れてない?」  「僕は、運転には慣れてるから問題ないよ。」  カシャ、カシャ。とスマホのカメラの音がする。 自撮り棒で、二人の写真を撮ったあとも風景の写真を撮っていた。  近くの店に寄って、ソフトクリームを食べる。秋の乾いた喉に潤いが拡がる。確かに、色々なところに連れだしてくれる佳之の行動力は有難い。一人で居たら悶々と家で過ごしているだけの週末だったに違いない。二人で、とりとめもない話をし、海を眺めていた。  するとすごい勢いで通りに車を停め、向こうから走ってくる男が居た。
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