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後に残された円は、その場にうずくまる漁師に走り寄った。
「おじさん、大丈夫?」
「うう。痛てて」
「一体誰がこんなひどいことを」
「顔は見たことないな。よそ者だな。ありゃあ」
漁師は円の差し出した手にすがって立ち上がろうとしたが、すぐにまた座り込んでしまった。
「痛てててッ!」
「どうしたの? どこが痛いの?」
「腕の筋を痛めちまったらしいな」
「待って。すぐに治療するから」
円は漁師の手を取ると、癒しのオーラを送り込んだ。
「おおぉ。こりゃ効くな」
漁師の顔に、血の気と笑顔が戻った。
「もうちっとも痛くないぞ。ありがとう」
「どういたしまして」
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