日々の受難

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直後、1時間目の授業が始まるチャイムが鳴ったので、いい加減この状況をどうにかしろよという思いを込めて千葉先生を見つめた。 腐ってもSクラス。 このクラスに在籍するからには、勉学に関してはある程度上位の成績をキープしていなければならないのだ。 「後で抱いてやるから、今はごめんな」 心底残念そうに溜息をついた姿に軽く殺意が芽生えた。精一杯の侮蔑を込めた視線にも当の本人はあっけらかんとしているのだから余計にだ。 「そんな日は今後一切来ませんから、とりあえず早く進めてくださいよ」 これでも高レベルであるこの学園の教師のはずなのに、本来あるべきはずの貫禄というものが一切備わっていない。 逆にあるのは自意識過剰すぎるお花畑の脳みそと、歩く18禁という称号だけだ。なんと不名誉極まりない。あまりの情けなさに涙が出そうだ。 あーわかったわかった、と適当に返事をした千葉先生はやっと授業を始める気になったようだ。 休んでるやつは手を上げろーというツッコミどころ満載のセリフでボケを狙ったのか知らないが、それに答えるやつは誰一人としていなかった。当たり前だ。 しかし、改めてこの学園に入学してからのことを振り返ってみると、生徒会や風紀委員などこの学園独自の伝統に加え、上位のものに対しての過剰すぎる崇拝に戸惑うばかりだった。 はっきり言って、この学園は異常だ。 自主性が重んじられていると言えば聞こえはいいもの、実際は権力者が支配する独立国家のようなものだ。 「はぁ」 とうとう我慢できなかった溜息を不満と共に吐き出した。 やることは膨大だ。これからの自分の身の振り方を考えなければならない。 本音を言えば、そんなことよりも窓の外に浮かぶ白い雲がわたがしに見えて仕方がなかった。 こんなに疲れた時には甘いものを摂取するに限る。 「…おい、翔!聞いてるのか?」 現実逃避をしていると、千葉先生に見つかってしまった。 ちっ、めざといやつめ。 「……すいません、聞いてませんでした」 すみません、なんて欠片も思っちゃいないけどな。
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