日々の受難

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だが、同じように翔を守りたい、手に入れたいと思うヤツらは多い。 入江北斗───まさにこいつがいい例だ。 やっと見つけたんだ。誰がお前らみたいなガキにくれてやるかよ。 ……もう、何も出来ずに見ているだけだなんてごめんだ。 「……遼介先生?……ちょ、やめてくださいよ」 俺に仕返しをしてひとしきり笑った後、何も言わない俺に焦ったのか無防備にも近寄ってきた野良猫みたいなこいつの頭を撫でた。 口ではやめろと言いながら、気持ちいのか目を細めるこいつがたまらない。 自分より頭一つ分くらい下にある綺麗な目を覗き込み、その目尻にキスをした。 変な声を上げて固まった翔を見て笑った後、今もまだ鋭い視線を寄こす男に向かって舌を出した。 ガキが、調子乗ってんじゃねーよ。 こちらの挑発を正確に読みとったのか、生徒らが言うプリンススマイル(笑)とやらが見る影もない。 「っ先生!」 「あーはいはい」 もう、と少し頬を膨らませ翔は俺から素早く離れていった。 その顔が男をその気にさせるということに、こいつは気づいていない。 入江は俺から逃げるように自分の後ろに隠れた翔に満足したのか、俺を見て笑っている。 そーゆうとこがガキなんだよ。 「あいつらが戻って来るまで寝とくわ」 そう言って教卓に顔を伏せた。 何で俺ばっかりこんな、とブツブツ文句を言っている声が聞こえる。 顔が見えないのをいいことに、くつくつと喉を鳴らした。 まさかこの歳にもなって、こんな風に笑う日が来るとは思わなかった。 あーゆう人種は誰にも頼らず、何でも自分でこなそうとボロボロになることを知っている。 俺とあいつは教師と生徒で、叶わない恋だということは分かっている。 せめて、あいつに何かあった時一番に頼れる存在であれるよう、俺はあいつの味方でいよう。 ───あの瞳が曇らないように。 end
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