日々の受難

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今日は入学式だったため、授業はほとんど説明だけで午前中で終わった。 「翔、一緒に食堂に行こう?」 北斗のお誘いに乗り、食堂という響きに少しワクワクしながら立ち上がった。 「ちょっとまったぁぁぁぁぁああ!!!」 「っ!」 突然発せられた、何かに取り憑かれたかのような大声。 この人物が誰か心当たりがありすぎるけど、凄く振り向きたくない。 そうだ、俺達じゃないかもしれないし。うん。 「っな、何…」 そそくさとこの場を去ろうとしていた俺達を嘲笑うかのように、変態…天宮に手首をガシッと掴まれた。 振り向いた先にある表情は、なかなか鬼気迫るものがある。テレビから出てくる某女の幽霊もびっくりだ。 俺と北斗の顔を見て引いていることに気づいたのか、気を取り直すようにゴホンと言った。 いや、本当にゴホンとか言う人いないから、というツッコミはお呼びではないようだ。 今こそ俺は花宮くんの総受けに向けて立ち上がる!世界平和のために!!と拳を天に突き上げて宣言した天宮は、多分一生治らない病にかかっていると思う。 「ねえねえ俺、何もしないからさ、見てるだけだからさ、一緒に食堂で食べていい?いいって!?ありがとう!!」 俺何も言ってないんだけど。 とうとう幻聴まで聞こえるようになった天宮を残念なものを見るような目で見つめた。 「俺は萌のため、果ては世界のためなら一般ピーポーのどんな視線にも耐えてみせる!……あ、あれ?目から汗が……」 何だか本格的に可哀想になってきたため、天宮も一緒に食堂に連れていくことにした。 現在、俺の目の前には無駄に装飾過多の豪華な扉がある。理事長室程ではないが、ついつい見上げてしまうほどの大きさだ。 何故たかが食堂のためだけにここまで扉を大きくする必要があったのか分からないが、とりあえず蒼梧さんの趣味を疑うには十分だ。 お相撲さんが二人一緒に余裕で通れるくらいの広さはある。 ただの一般人には敷居が高いが、とりあえずお腹がすいた。 それなのに、何故か二人はなかなか入ろうとしない。さっきまであんなにハイテンションだった天宮もだ。
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