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「目覚められたんですね…よかった。」
「あ、あの…。」
言い訳をしようとする魁人自身…
それが、優子の為じゃなく自分の為のように思えて何も言葉にできなかった。
「いい生徒さんですね。」
「え?あ、はい。」
「うらやましい…教え子に女優さんいるなんて、自慢できますね。」
「あ、は。」
優子は何も言わず、看護婦さんに会釈して病室の隅に立っていた。
「点滴のあと、」
「帰ります。」
「だめですよ?あなた…栄養失調なんて今時。ね。検査等あるので、入院です。」
「あの…私は、失礼します。」
「あ!」
「先生、あの生徒さん仕事抜け出してきててみたいですから…大変よね、まだ高校生なのに。」
二人が同じ時、同じ瞬間を過ごしたのは…それが最後だった。
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